多摩市諏訪で見つけた、手づくりお菓子とコーヒーでホッと一息つけるカフェ「PARLOR」

日常を過ごせる、映画のセットのような非日常的空間

諏訪の坂道を下っていると、小さいながらも目を引く看板がチラリ。
看板に釣られ、理美容室の横道を入ると秘密基地のような店構えのカフェ「PARLOR」が現れる。

扉を開けると、アメリカン映画の中に入り込んだような、観たことはあるけど過ごしたことのない“非日常的”な空間。

でも、そこを訪れる人は主婦だったり、学校帰りの学生だったり、仕事終わりの社会人だったり、いたって普通の人たち。

ここ、多摩市はいわゆるベッドタウン。
生活の基盤となるこの地域には、非日常的空間で日常を過ごせるカフェがある。

理美容室“TAMA tumuji WERKS.”と1つ屋根の下に構えるPARLOR。
特殊な立地のここに店を構えた経緯を店主の山本さんに尋ねると

「もともと僕は髪を切りに来たお客さんだったんです。
僕はずっと “何かやりたい!” という気持ちがすごくあって。

そういうことをオーナーに相談していたら “バックヤードのスペースでコーヒー屋始めようと思ってるんだけど、やらない?” と誘っていただいて、それが始まりです。

理容室で施術の間にサービスでコーヒーを出していたんですけど、そのコーヒーを本格的に美味しいモノにしたいと、オーナーがずっと言っていて。」

と答えてくれた。

ホワイトとグリーンで彩られた壁面が印象的で、もともと居酒屋の厨房だったということもあり、窓が高い位置に。
そこから差し込む日差しが店内を照らし、日常を過ごす家のような居心地の良さがある。

“好きなものをつくる”というこだわり

自分のお店なら、好きなものをつくるこだわりは誰でもあるはず。
でもそれってすごく難しいことで、経費やニーズのバランスで諦めなければならない点も付きもの。

そんな中でも、PARLORが提供するものは店主の山本さんが好きなものなんだなと、すごく感じさせられる。

小学生の頃からお菓子づくりが好きだった山本さんは、お店で出しているお菓子の原価をあまり考えていないそう。

「自分が作りたいと思ったものを作って、美味しいと思ったものをお客さんに出してます。楽しいと思えることであれば、それが金銭的にマイナスなことでもやっちゃいます(笑)。」と楽しそうに話してくれた。

そんな、自分が好きなもので揃えられたメニューは、コーヒーもお菓子も濃い目の味に作ってるそう。
でもなぜだか、一緒にいただいてもクドいなんてことは一切なくとても美味しい。
作り手のセンスと、好きなものへの愛情を感じられるはず。

甘いものを食べると飲みたくなるのがハンドドリップコーヒー。
PARLORでは、髪を切りに来たお客さんの紹介で、新潟の「ナカムラロースターS」の豆を使用しており、この日はクリーンで上質な甘みが魅力のボリビアを、メタルフィルターでドリップしてくれた。

“好きなもの”は山本さん自身だけの目線ではなく、通ってくれるお客さんの”好きなもの”でもあるのかな、と思わせてくれるのが看板メニューでもある「チーズケーキ」。

お客さんから「チーズケーキが食べたい」と要望があり、作ることにしたんだとか。
気軽に要望が言えて、それを気軽に応えてくれる。そういったPARLORのラフな雰囲気に、ずっと居座っていたくなるはず。

「これ、なんですか?」から始まるコミュニケーション

人との会話や繋がりを大切に思う山本さんらしいおもてなしだなと感じたのが、カウンターに置かれたリンゴ。
インテリア?本物?なんで?と、クエスチョンマークが浮かぶ。

「使ってる食材や、これから使おうかなと思っているもの、あとはただ置いとくと良い感じかなって思ったものを置いてみたりしてます(笑)。こうやってるとお客さんから声を掛けてもらうことが結構あって、そういうところから会話が始まっていくのってなんか良いですよね。あとこれもそういう感じの仕掛けというか・・・」

そう言って教えてくれたのが「P」というお菓子。

「P ¥200」とだけ書かれたプレートが添えてあり、どんなお菓子なのか、そもそもお菓子なのかもわからない。

こういった遊び心を店頭に並べておくことで、お客さんも会話のネタも見つけられるし、山本さんからも声を掛けやすい。

楽しみながら会話の機会を設けるそのスタンスは、「空間から繋がりを提供したい」と強く思う山本さんの想いが込められたもの。

「生きる上では絶対に必要のないものだけど、行きたいと日常的に思ってもらえるような店にするよう心掛けている」
そう言ってくれた山本さんのカウンター越しの会話やちょっとした遊び心が、諏訪に住む人々の日常に溶け込んでいるように思えた。

繋がりによって生まれた空間で、あなたも新しい繋がりを

そもそもコトの始まりは、髪を切ってくれる人と、切られる人。
お店の人とお客さんの関係から始まったのがこのPARLOR。

ちょっとした会話がひとつの新しい空間づくりに結びついたっていうことは間違いないし、そういう面白い出会いや出来事はそこら中にも転がっているはず。

フラっとPARLORに立ち寄って一息つけば、あなたとの会話で新しいメニューが出来るのかもしれないし、お話し好きの山本さんがお客さん同士を繋げてくれるかもしれない。

美味しいコーヒーや美味しいお菓子を食べに行くのももちろん理由のひとつだけど、PARLORにはその味をより引き立ててくれる人が、いつも通りお店で待ってくれている。

住所東京都多摩市諏訪 1-9-4
営業時間10:00~18:00 (定休日:火曜日・水曜日)
電話番号042-400-1393
テイクアウト
WiFi・電源無・有
駐車場
席数約8席
ホームページのURL
インスタグラムのアカウントhttps://www.instagram.com/parlor___/