コーヒーに興味がある方の中には「スペシャルティコーヒー」という言葉を、見かけたり聞いたりしたことがある方は多いのではないでしょうか。
でもスペシャルティコーヒーって、何のことかよくわからないですよね。
字面だけ見ると「美味しいコーヒーのこと?」って、思ってしまいますが、それは半分正解。
でも「スペシャルティコーヒー」は、ただ単に「美味しい」だけを意味する言葉ではないんです。
今回の記事では、できるだけわかりやすく

スペシャルティコーヒーとは

スペシャルティコーヒーとは何か、めちゃくちゃ簡単にお伝えすると、
です。
「品質管理・サスティナブルとか言われても、よくわからないよ」と思う方が多いかもしれません。
でも、ちゃんと詳しくご説明するので、ご安心ください。
もう少し具体的に説明すると、スペシャルティコーヒーは、この3つの特徴を持つコーヒーのことです。
- 消費者が美味しいと評価して満足するコーヒー(味の話)
- 生産から提供するまでの工程できちんと品質管理されているコーヒー(生産体制の話)
- サスティナブルであること(お金の話)
味の話:消費者が美味しいと評価して満足するコーヒー

スペシャルティコーヒー以外とスペシャルティコーヒーを比べて、もっともわかりやすいのは「風味」です。
スペシャルティコーヒーの風味は、ストロベリーやオレンジなどのフルーツや、チョコレート・シナモンなど様々な食べ物やスパイス等で表現されます。
その風味を活かすために、スペシャルティコーヒーは浅めの焙煎がされてることが多いです。
そのため、コーヒーの味を「苦くてどっしりとした味」と思っている方が飲まれると、これまでのコーヒーの味とのギャップで、驚くかもしれません。

スペシャルティコーヒーには明確な定義がないとお伝えしましたが、「スペシャルティコーヒー」の認識や理解を深める活動を行っている、「日本スペシャルティコーヒー協会」では定義づけをきちんとしています。
「日本スペシャルティコーヒー協会」の「スペシャルティコーヒー」の定義は
「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること」
です。
その定義のとおり、スペシャルティコーヒーとして認定されるためには、各国に存在しているスペシャルティコーヒー協会の審査を受けなければいけません。
下記8項目で審査され、100点満点中80点以上の評価を受けたコーヒー豆だけが、スペシャルティコーヒーと認定されます。
- カップ綺麗さ
- 甘さ
- フレーバー
- マウスフィール
- 酸の質
- 後味の印象度
- ハーモニー
- 総合評価
ちょっと小難しい話になってしまいましたが、要は厳選な基準で「風味が素晴らしく美味しい」と評価を受けていることが、スペシャルティコーヒーの一つの特徴だと考えてくださいね。
実際に「スペシャルティコーヒー」の流通量は、全コーヒーの約5%しかありません。
つまり、私たちがコンビニやチェーン店などで日常的に飲むほとんどのコーヒーは、「スペシャルティコーヒー」ではないということです。
生産から提供するまでの工程できちんと品質管理されているコーヒー(生産体制の話)

前述したとおり、スペシャルティコーヒーと呼ばれるコーヒー豆は「風味が素晴らしく美味しい」と評価される、つまり質の高いコーヒー豆です。
当然ながら、質の高いコーヒー豆を提供するためには、生産・提供するまでの工程できちんと品質管理することが求められます。
私たちが普段何気なく飲んでいるコーヒーですが、提供されるまでの工程はとても多いんです。
その工程をざっくりと分けると、この7つ。
- コーヒー豆の栽培
- コーヒー豆の収穫
- コーヒー豆の生産処理
- コーヒー豆の選別
- コーヒー豆の輸出入
- コーヒー豆の焙煎
- コーヒー豆の抽出
それぞれの工程で一貫した品質管理を行うことではじめて、「風味が素晴らしく美味しい」と評価される、つまり私たちが美味しいと感じるコーヒーが飲めるのです。

日本スペシャルティーコーヒー協会の定義でも、「コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である」とされています。
細かい工程については覚えなくても大丈夫です。
でも、スペシャルティコーヒーを提供するまでに、
ということだけは、覚えてくださいね。
そうすれば、スペシャルティコーヒーを飲む時に、
- この美味しいコーヒーを飲むまでにどれだけの人が関わってるんだろう
- どこの国で生産されて、どこで焙煎されてるんだろう
といった想いを巡らせて、コーヒーに対してさらに興味が湧き、その先に色々な発見があるはずです。
サスティナブルであること(お金の話)

スペシャルティコーヒーとして認められるためには
- 味の話
- 美味しいコーヒーを作るための生産体制の話
だけでなく、「サスティナブル(持続可能)」であることも重要です。
ここまでご説明してきたように、美味しいコーヒーを提供するために、たくさんの人が努力しています。
しかし、1960年代以降は流通の発達とコーヒーの需要の増加によって、コーヒーは大量生産・大量消費されるようになりました。
大量生産・大量消費の社会で求められるのは「コーヒー豆を安定して生産し、安価で提供すること」です。
安価で提供し続けることは、コーヒー豆を栽培・生産するコーヒー農家の方々に大きな負担を強いることを意味します。
その結果、1990年代後半にはコーヒー農家が美味しいコーヒーを生産する対価が、生活ができなくなるレベルまで安くなっていきました。
対価が安くなってしまうと、農家の方々のモチベーション・生産体制など様々な面で質の高いコーヒー豆の栽培・生産は難しくなります。
そのため、品質の高いコーヒー豆を安定して栽培・生産するため。
そして、コーヒー農家の方々にきちんと対価を支払うために、スペシャルティコーヒーではトレーサビリティーの確立とサスティナブルであることも、とても重要だと考えられています。
トレーサビリティーって何?
いきなりトレーサビリティーなんて難しい言葉が出てきて、拒否反応が起きた方もいるかもしれませんが、しっかりご説明するので安心してくださいね。
トレーサビリティーとは、
です。
では、なぜトレーサビリティーが重要なのでしょうか。
サスティナブルであることが、美味しいコーヒーを飲み続ける絶対条件
トレーサビリティーが確立されることで、コーヒー豆の栽培から提供するまでに関わる人や企業が明確になります。
ここが明確になっていないと、美味しいコーヒーを飲める対価を誰に支払うべきかわかりませんよね。
だからこそ、トレーサビリティーは大切なんです。
栽培・生産に関する方々や流通に関わっている方々に、きちんと対価を支払い続けないと、質の高いコーヒー豆は生産・流通し続けられません。
美味しいコーヒー豆を飲み続けるためには、美味しいコーヒーを提供する全ての人に対価を支払える、サスティナブル(持続可能)な仕組みが私たちの想像以上に大切なんです。
普通のコーヒーとの違いって何?

ここまでスペシャルティコーヒーについて、解説してきました。
では、結局スペシャルティコーヒーと、私たちがコンビニやチェーン店などで飲むコーヒーでは何が違うのでしょうか。
一概に言えるものではありませんが、簡単にお伝えすると下記3つが普通のコーヒーとスペシャルティコーヒーの違いです。
- 質の高いコーヒー豆の素晴らしい風味
- 素晴らしい風味を持つコーヒー豆を提供するための生産・流通体制
- 生産・流通する体制を維持する対価がきちんと支払われるサスティナブルな仕組み
Westside Coffee(ウエストサイドコーヒー)からのメッセージ
難しい話も多くなってしまいましたが、私たちが最も強く想っていることは